2023年4月16日開催「 #freee技術の日 」に行ってきた
#freee技術の日
とは
freee 技術の日
https://www.freee.co.jp/event/freee-tech-day-2023/
- クラウド会計ソフトで有名な「freee」が主催するテックカンファレンス
- 大崎本社を会場としたオフライン参加と、YouTube配信によるオンライン参加の2軸で開催
- 2023年3月に出版された『Webアプリケーションアクセシビリティ』の著者による登壇があると聞いて、オフライン参加してきた
現地のここがよかった
自分が学生だったら絶対採用応募してるな~って思った。
オフィスが素敵
- 去年移転したばかりという大崎のオフィスがめちゃめちゃ素敵
- オフィスツアーでいろいろな会議室など中も見せてもらえた(ご案内ありがとうございました)
- 内装や場所、名前付けなどの1つ1つに意味づけがあり、正しい意味で「デザイン」された空間
- 働いている人のアイデアや要望が形になっている
追記
- 縁側のような和室になっている会議室とかとてもよかった
- 部屋の名前がタイシャクタイショウヒョウ(貸借対照表)=Balance Sheet なので、"バランスを取る" ことを意識したモチーフをあしらったそう
- ちゃぶ台の足が半球
- 内装にししおどし
- 座布団もfreeeオリジナル柄
- 「浪に燕」という家紋風のロゴがあしらわれてたり
ダイバーシティを感じる
- 服装、髪色、ピアスなど「自分にとって心地よい格好」をすることが許容されてる
- だれでも利用できるトイレがあり、グラフィックでそれが表現されている
- 写真撮ればよかったあ~
追記
だれでもトイレのグラフィック、公式noteに写真ありました。ぜひ見てほしい。
イベントとして楽しい
- オトナが気合い入れて文化祭をやってる雰囲気
- フリー提供の軽食・お飲み物がおいしい
- 居心地がいい
- 一緒に行った友人と真面目な話で盛り上がった
登壇者の方とお話できた
- セッション中に質疑応答がないかわりに、終わったあと会場すぐ横の別室に登壇者が移動し、直接お話ができるというシステムが用意されていた(めちゃめちゃいい)
- アクセシビリティのセッションのあと、画面越しに拝見していた freee の伊原さん、SmartHR の桝田さんと直接お話することができた
学びがあったな~と思ったこと
伊原さん、桝田さんから直接聞けたこと、聞いて「こういうことだな」と自分なりに思ったことなどをざっと書き留めておく。
フォントのウェイトに関する悩みを相談した
質問したこと
- 自社サイトの標準スタイルとして採用されたフォントが Noto Sans の「細い」ウェイトのものだった
- 自分としては「見づらい!」と感じるが、社内や家族などは「別に大丈夫」という反応で、あまり共感が得られない
- 実際にユーザーテストなどされている中で、ウェイトの細さに関して言及されたことなどあるか?
- どうしたらチームの理解を得られるか?
得た知見
- アプリケーション開発だとシステムに組み込まれてるサンセリフ体を指定することが多い
- ウェイトがやたら細いというケースは生まれにくい
- 他の人の共感を得るという点では…
- 実際に「見づらい」と感じているユーザーの反応を目にするのが一番
- 実感がないと響かない
- ある種、作り手側の羞恥心にアプローチしていくことでもある
- “自分が作ったものがこんなにも使えないのか…” 的な
- ガイドラインでは勝負できない
- ウェイトに関しての規定がない
- 拡大できればよいという考え
- 実際に「見づらい」と感じているユーザーの反応を目にするのが一番
- いわゆる 4.5:1 のコントラスト比とは違う計算方法、考え方が検討されている
- (具体的な名称忘れてしまった)(勉強不足)
- デザインの大きなトレンドとしては「太く」「デカく」なってる
- スマホ(小さい画面)での情報取得が主流になった結果
- デザインの文脈から攻めるのもありかも
追記:APCA について
いわゆる 4.5:1 のコントラスト比とは違う計算方法
こちら「APCA」という名称でした。
以下、Twitterにていただいた参考リンク(桝田さん、@shunito さんありがとうございます)。
ドキュメンテーションは GitHub の下記リポジトリで公開されている。
APCA (Accessible Perceptual Contrast Algorithm) is a new method for predicting contrast for use in emerging web standards (WCAG 3) for determining readability contrast. APCA is derived form the SAPC (S-LUV Advanced Predictive Color) which is an accessibility-oriented color appearance model designed for self-illuminated displays.
以下ざっと調べた内容メモ。
- APCA は「Accessible Perceptual Contrast Algorithm」の略
- ディスプレイ上のテキストと非テキストのコントラストを計算する新しい方法
- 現在の計算方法だと「基準としてはクリアしてるけど実際には見づらい(またはその逆)」の組み合わせが出てしまう
- ここを改善するための新たな基準として検討されている模様
- 以下のエントリーで紹介されてるサンプル画像がイメージしやすかった
- APCA の中では「ウェイト」の観点が含まれている
- まさに今回の悩みポイント
- WCAG 3.0 になったら話が変わってくるかもしれない
ほかの方の質問から出たトピック
社内の啓蒙活動、具体的にどうしたらいいかわからない問題
- 今日の登壇者は全社研修をやるみたいなところからスタートしてる
- それって「全社に対してなにかする」ができる立場ということ
- すでに別の分野で活躍して実績が認められている
- 結局人と人の話なので、話を聞いてもらえる人になる、というところはある
- 身も蓋もないけど、大事なとこ
- それって「全社に対してなにかする」ができる立場ということ
- それはそれとして、とにかく言い続けるのは大事
- 上長の理解が得られているとか、研修をする機会があるならそれはチャンス
- 親和性の近いトピックに言いたいことをねじ込んでいく
- 早めに仲間を見つけたい
- 1人はつらい
- 最低3人欲しい
- 2人だと片方が諦めると終わっちゃう
- 3人いれば相互監視体制になる
- 会社の名前を使って、社外での発表をしていくのも良い
- 社内に向けて「アクセシビリティやりましょう!」と語りかけても響かない
- のに、なぜか社外に向けて発表をすると、社内から反応が返ってくる(不思議)
- Twitter とかで回ってきたり、目に留まって「あ、うちの会社こんなことやってんだ」と社内の人が気づいたりする
- 自分自身も地道に強くなっていく必要はある
- 知識だったり経験だったり
- コツコツレベル上げ
BtoC と BtoB で違うこと
- BtoC では、C (顧客)の中のアクセシビリティを必要としている人の割合≒社会一般のそれの割合になりがち
- BtoB だと、B (取引先の会社)の中に人すべてが不便なく使えないと、製品としての導入を避ける結果になる=売れない
- 例:ほんの数人の人のためだけに別のシステムや紙での対応が必要になるとか
- アクセシビリティの改善が、ダイレクトに販売に繋がる
- BtoC はユーザーの声を直接拾い上げられる強みがある
- モニター募集すると沢山手を上げてもらえたり
- 改善した結果を喜んでくれる声が届いたり
授業でも取り入れてほしい
- (参加者から)美大のデザイン学科の授業でも、ユニバーサルデザインなどの領域でちょこちょこ触れられることはあるが、アクセシビリティについてもっと深く話してもいいと思った
- なぜ今アクセシビリティの普及に苦労しているかというと、その重要性を教わらずに今まで来たひとの理解を得るのが大変だから
- 早いうちからの種まき is 大事
- なんなら小学校から教えていってもいい
追記:あとから1日を振り返ってみて
セッションとその後の会話の中で「同じ文脈だな」と感じた言葉がいくつかあった。
正確ではないが、自分が受け取ったニュアンスとして思い出しながらメモっておく。
印象に残った言葉たち
- アクセシビリティを技術の枠でおさめてほしくない
- アクセシブルになっていない、支援が必要な人というのは今の枠の外に大勢いる
- 知的障害だったり、識字障害だったり
- 結局最後は販売・マーケティングが必要
- 究極、"技術的に解決する" のは時間をかければできる
- けどそれで支援が必要な人に届くわけではない
自分の教訓とするなら
- アクセシビリティを技術分野やトピックの1つとして捉えない
- 支援が必要な人がアクセシブルな状態になることが目指すところ
- そういった人々は、自分の想像や知識、リーチの外に沢山居ることを忘れない