Google Workspace を解約して、同一ドメインに「さくらのVPS(Webサーバー)」と「さくらのメールボックス(メールサーバー)」を設定する

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概要

  • DNSとメールサーバーの知識が追いついていなかった頃、なんとか hi3103.net ドメインでメールを使えるようになるため Google Workspace を個人契約した
  • 数年経ったがメール以外の機能を活用できておらずもったいないので、メールサーバーを「さくらのメールボックス」に移行することにした
  • 参考:年間コスト比較
    • Google Workspace:年 8,160 円 (Business Starterプランかつ割引後価格の場合)
    • さくらのメールボックス:年 1,056 円(36ヶ月一括払い 3,168円の場合)

関連エントリー

参考URL

利用サービス

最終的に「ネームサーバー」と「メールサーバー」をさくらに変更するのがゴール。

役割 現在 変更後
ドメイン契約 Squarespace(旧 Google Domains) Squarespace(旧 Google Domains)
ネームサーバー Squarespace(旧 Google Domains) さくらのネームサーバー
メールサーバー Google Workspace さくらのメールボックス
Webサーバー さくらVPS さくらVPS

作業ログ

さくらのメールボックスを契約

https://rs.sakura.ad.jp/mail/

上記より契約。2週間お試し付きですぐに使えるようになる。

独自ドメインの登録

サーバコントロールパネルにログインし、ドメイン/SSL ページで [ドメイン新規追加] をクリック。

「他社で取得したドメインを移管せずに使う」の [追加] をクリック。

トラブル発生:ゾーン登録ができない

hi3103.net を登録したところ、以下のエラーが出てしまった。

DNSゾーンが既に登録されています

サポート情報を参考に問い合わせたところ、

  • うちのネームサーバーに hi3103.net のゾーン情報がすでにあるよ
  • 追加したいなら既存のものを先に削除してね

という旨の返信が来た。

昔はドメイン契約をスタードメイン、ネームサーバーはさくらで運用していたのでその名残と思われる(完全に忘れてた)。

解決:既存のゾーン情報を削除してリトライ

念のため、現在使っているネームサーバーがさくらのものでないか dig コマンドで確認。

$ dig +short NS hi3103.net
ns-cloud-e3.googledomains.com.
ns-cloud-e2.googledomains.com.
ns-cloud-e4.googledomains.com.
ns-cloud-e1.googledomains.com.

ns-cloud-e◯-googledmains.com は Squarespace のネームサーバーなので、さくらのネームサーバーに登録されているゾーン情報は消して問題ない。

ヘルプの指示通り、ドメインコントロールパネルから「ネームサーバサービス」を開いて hi3103.net のゾーン情報を削除。

その後、ドメイン新規追加手順を再度行ったところ、無事にゾーン情報が登録できた。

ゾーン情報の整理

  • 自動登録されたゾーン情報は「さくらのメールボックス」デフォルトの設定が入っている状態
  • ネームサーバーの切り替え後に正しく動作するよう、現在使用している Squarespace 側にあるゾーン情報と比較し、過不足がない状態にする
NSレコード

ネームサーバーの設定。Squarespace からさくらのネームサーバーに切り替える。

ホスト タイプ 対象サービス
@ NS ns-cloud-e1.googledomains.com.
ns-cloud-e2.googledomains.com.
ns-cloud-e3.googledomains.com.
ns-cloud-e4.googledomains.com.
Squarespace
@ NS ns1.dns.ne.jp.
ns2.dns.ne.jp.
さくらのネームサーバー
MXレコード

メールサーバーの設定。Google Workspace からさくらのメールボックスに切り替える。

ホスト タイプ 対象サービス
@ MX 1 aspmx.l.google.com
5 alt1.aspmx.l.google.com
5 alt2.aspmx.l.google.com
10 alt3.aspmx.l.google.com
10 alt4.aspmx.l.google.com
Google Workspace
@ MX 10 www◯◯◯.sakura.ne.jp. さくらのメールボックス

注意点としては以下。

  • さくらのコンパネからゾーン登録した場合、 Aレコード=さくらのメールボックスのIPアドレスが前提となるため、デフォルトだと 10 @ という値になっている
  • 今回はメールサーバーだけ切り分けて使うため、さくらのメールボックスのホスト名に手動で書き換える必要あり
  • ホスト名は会員メニュー内「契約中のサービス一覧」から確認可能
Aレコード

Webサーバーとの紐づけ。現在稼働中の「さくらのVPS」のIPアドレスを設定する。

ホスト タイプ 対象サービス
@ A 160.16.67.85 さくらのVPS
CNAMEレコード(エイリアス設定)

ftpmail は不要なのでこのタイミングで削除。www のみ継続利用する。

ホスト タイプ
ftp CNAME hi3103.net
mail CNAME hi3103.net
www CNAME hi3103.net
CNAMEレコード(ドメイン認証)

Google Workspace 用のもの。解約するので削除。

参考:CNAME レコードの値 – Google Workspace 管理者 ヘルプ

ホスト タイプ 対象サービス
◯◯◯ CNAME gv-◯◯◯.dv.googlehosted.com Google Workspace
TXTレコード(ドメイン認証)

Search Console と Bluesky 用のもの。今後も利用するので登録が必要。

ホスト タイプ 対象サービス
@ TXT google-site-verification=◯◯◯ Search Console
_atproto TXT did=did:plc:◯◯◯ Bluesky(AT Protocol)
TXTレコード(SPF・DKIM・DMARC)

メール関連の設定。メールサーバーを Google Workspace からさくらに切り替えるため、一旦削除の上、さくらのサーバコントロールパネルから新たに設定を行う。

ホスト タイプ
@ TXT v=spf1 include:◯◯◯ ~all
◯◯◯._domainkey TXT v=DKIM1; k=rsa; p=◯◯◯
_dmarc TXT v=DMARC1; p=none; aspf=r; rua=mailto:メールアドレス; adkim=r

※DMARCは未登録だったため、新規設定のみ実施。

ゾーン情報の最終チェック

前述の整理を経てゾーン情報が完成したら、設定に過不足がないか慎重に最終確認を行う。

今回は以下のようになった。

ホスト タイプ データ 用途 対象サービス
@ NS ns1.dns.ne.jp.
ns2.dns.ne.jp.
ネームサーバー さくらのネームサーバー
@ A 160.16.67.85 Webサーバー さくらのVPS
www CNAME hi3103.net エイリアス さくらのVPS
@ TXT google-site-verification=◯◯◯ ドメイン認証 Search Console
_atproto TXT did=did:plc:◯◯◯ ドメイン認証 Bluesky(AT Protocol)
_dmarc TXT v=DMARC1; p=none; aspf=r; rua=mailto:◯◯◯@hi3103.net; adkim=r DMARCレコード さくらのメールボックス
◯◯◯._domainkey TXT v=DKIM1; k=rsa; p=◯◯◯ DKIMレコード さくらのメールボックス
@ TXT v=spf1 a:www◯◯◯.sakura.ne.jp mx ~all SPFレコード さくらのメールボックス
@ MX 10 www◯◯◯.sakura.ne.jp. メールサーバー さくらのメールボックス

ネームサーバーの切り替え

ゾーン設定に問題がなければ、いよいよネームサーバーを Squarespace からさくらのネームサーバーに切り替える。

Squarespace でネームサーバーを更新
  1. Squarespace の管理画面にログイン
  2. DNS > ドメインネームサーバーから [カスタムネームサーバーを使用] をクリック
  3. さくらのネームサーバーの値を入力して保存
  4. 「変更を加えるにはDNSSECを無効にしてください」というダイアログが出る。先に進むと自動で無効になるので、 [続行] をクリック。
  5. 「変更が送信されました」というダイアログが出て完了
dig コマンドで反映を確認

以下でDNSの設定状況をチェック。Google Admin Toolbox の Dig ツール等でもOK。

dig NS hi3103.net

NSレコード(ネームサーバー)がさくらのものに切り替わっていることを確認。

;; ANSWER SECTION:
hi3103.net.             3600    IN      NS      ns2.dns.ne.jp.
hi3103.net.             3600    IN      NS      ns1.dns.ne.jp.

動作チェック

Webサーバーの動作確認

https://hi3103.net にアクセスし、表示や動作に問題ないことを確認。

メールサーバーの動作確認

さくらのサーバコントロールパネルからWebメールを利用。
hi3103.net ドメインのメールアドレスで送受信のテストを行い、動作することを確認。

メール環境の整備

自分は個人 Google アカウントの Gmail にあらゆるメールアドレスを集約しているので、Google Workspace で利用していたものも同様にまとめておく。

Gmail 上で過去メールを確認できるようにする

以下エントリーを参照。

Docker で imapsync を使って Google Workspace から個人の Gmail に過去のメールを転送する – hi3103の備忘録

Gmail 上でメールの送受信ができるようにする

サポート情報を参考にアカウントを追加する。

  1. Gmail の設定から「アカウントとインポート」タブを開く
  2. 名前セクション下部の [他のメール アドレスを追加] を押下
  3. ポップアップウィンドウで以下操作を行う
    • 名前(表示名)とメールアドレスを入力し、 [次のステップ] を押下
    • SMTPサーバーのホスト、ユーザー名、パスワードを入力し、 [アカウントを追加] を押下
    • 認証用のメールが送信されたことがアナウンスされる
  4. さくらのサーバコントロールパネルからWebメールを起動し、受信トレイを確認
  5. 認証用のメール本文にあるURLをブラウザで開き、[確認] を押下
  6. Gmail 上で送受信のテストを行い、動作が確認できたら完了

Google Workspaceの自動更新を切る

完全に切り替えが完了したら、Google Workspace が次回更新されないように止めておく。

  • 「更新設定を変更」のダイアログで「サブスクリプションを解約する」を選択して保存
  • 他の画面でサブスクリプション自体のキャンセル手続きをしてしまうと、直ちに停止&違約金が発生してしまうので注意

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